一時停止↑
日本を出る前、1500キロの試運転を行った。
九州で買ったヨットを、仙台まで運んだのだ。
でも、こんな長距離航海は初めてで、一人では不安だったから、手助けを頼むことにした。
横浜でヨット仲間だった友人は、航海に必要な二週間の休みがとれず、驚いたことに会社を辞めてきた。もう一人、大学で同級だった広島の友達は、自分の結婚式を数日後に控えている。この航海に出てしまえば、結婚式には間に合わない。だが、それでも一緒に行くと言う。
冬の博多湾を出発した[青海]は、関門海峡を通り抜け、足摺岬から四国の南を回り、本州南岸を黒潮に乗って進んでいく。延々と続く九十九里浜を過ぎて銚子の岬を回ったとき、そこには雪のちらつく寒い海原と、大きな大きなうねりが待っていた。