一時停止↑
孤立した先住民の村を離れ、島々の並ぶ秘境の海をさらに南下する。
マゼラン海峡の町Punta Arenasまで800キロ。途中に人の住む島はない。
進んでも島、島、島。いや、島々の海というより、交差する無数の水路を走っているようだ。
前方に現れたのは、遠くの山々が青くかすむ水路の入口。だが、海図によれば、やがて水路は幅を狭めている。潮流は速度を増すに違いない。ヨットは左に曲がることにした。
その分岐点に目印として建てられた、白い灯台。人里離れて荒涼とした、寂しいパタゴニアの景色の中、唯一のなつかしい人工物だった。