一時停止↑
さらに日が落ちると、山の頂上が金紅色に光るばかりで、あたりは薄青い景色に変わってきた。
湾の岸、万年雪の上には、ペンギンたちが何をすることもなく立っている。クチバシが鮮やかなオレンジ色で、目の上に白い三角模様のついた、Gentooペンギンという種類だ。
彼らに向けて歩いていくと、決して視線を合わせずに、急ぎ足で遠ざかる。数メートル以内には近寄れなかった。
ゴムボートをこいでヨットに戻ると、狭い船室に海図を広げ、航海計画を確かめる。ドーナツ形のDeception島に着いて以来、半月ほども南極の島々の間を南下してきたが、なんとしても明日は南極大陸に上陸を果たしたい。
だが、すでに季節は夏も過ぎた三月半ば。南極の冬は目前に迫っている。嵐が去って、やっと訪れたこの晴天も、何日続くか分からない。