一時停止↑
 氷の山の尾根を歩いた後、海辺に引き返すとペンギンのコロニーに足を向けた。夏の子育てが終わった岩場の上は、寂しいほど閑散として、所々に身長六十センチほどのペンギンが、白い胸を張って海を見つめ、嵐の名残風に吹かれて立っている。もともと海だった彼等が、荒涼とした氷の世界に生まれ、毎日何を思って暮らし、探し求め、老いて海の水に還るのか。