一時停止↑
台風並みの風がごうごうと吹く、白波ばかりのSarmient水道を走り、今夜の停泊地となるMayne入江に到着した。
荒涼とした周囲の山々にさえぎられ、風は入江の中まで届かない。
だが、ウィリウォウの突風が、いつ山肌を駆け下り始めるか分からない。
測深器で海底の地形を確かめて、船首と船尾から錨を打つと、エンジンの力で錨を引くテストも済ませ、風に対する万全の準備を整えた。
この地では、走ることにも増して停まること、停泊技術の腕前が、ヨットと乗り手の運命を決めるのだ。