このサイトや本を、なぜ……?

south of Anvers island

どうして、このサイトを始めたのか?

なぜ、何年も続けているのか?

このサイトや本で、何をしようというのか?



舵誌に約4年の連載を終えたとき、最後の文で、その理由を説明したつもりです。

このサイトでご覧頂いた「あとがき」とは異なるものです。以下に掲載します。


南極を離れた<青海>が、南大西洋を渡り、インド洋を横断し、太平洋を縦断し、世界周航を終えて日本に帰り着いたのは、1990年のことでした。


南極以降、特にお話しすることはありません。新しい体験も感動も、たいしてなかったからです。


それは、とりもなおさず、この3年11カ月続いた連載の大部分でご紹介した、チリ多島海と南極の航海が、いかに驚きにあふれ、感動に満ちていたかを表していると思うのです。


南極とチリ多島海の航海は、あたかも別世界の出来事でした。生まれて初めての体験ばかりでした。まるで夢を見ているようでした。町の常識が通用しない、しかしながら我々の住む地球の掟(おきて)のみが支配する、それが本来の世界の姿とも思える、衝撃的な場所でした。


人間の遺伝子の中には、普段は使われず、生命の危機が訪れると初めて発現し、命を守るために機能するものがあるといます。船長7.5メートル、排水量2.3トン、搭載エンジン3馬力半という小さな<青海>で、南極やチリ多島海を単独で進む航海は、もしかすると危機の連続だったのかもしれません。


だからこそ、特殊な遺伝子が活性化し、現代人が失った感覚、五感を超える何かが発現し、危機を未然に察知するとともに、我々の住む地球からのメッセージを直接受信できたのかもしれません。


それが何かは、まだ言葉にできません。でも、今後の地球と人類にとって大切な何かを、感じ取った気がするのです。大げさと思われるかもしれませんが、全身で間違いなくそう感じているのです。


だからこそ、それを少しでも皆さんにお伝えするため、この連載に精一杯の力を注ぎ、非力ながらも試行錯誤を続けてきたのです。


航海中に寄った港々でアルバイトをしながら資金を稼ぎ、8年も続けた長旅は、それほど楽でも幸福なものでもありませんでした。つらい日々は少なくなく、貧乏で、本当に米も買えずに困り果てたこともある。写真のフィルムもカメラも満足に買えず、全ての写真は安価なコンパクトカメラで撮ったものです。


でも、それでよかった。本当によかった。小さなヨットで、資金に余裕のない旅だったからこそ、あのように鮮烈な体験ができたのだ。ぎりぎりの旅だったからこそ、普段は感じられないものを体感し、あれほど面白く充実していた。そうに違いないと思うのです。


書籍の「あとがき」では、少し違う書き方をし、違う思いも書いています。より分かりやすいかもしれません。そちらも読んで頂き、少しでも御理解いただきたいのです。
こちらから御覧いただけます。



これらの思いを分かりやすい形にし、どうにかして皆様にお伝えようと、試行錯誤を続け、頑張っているのですが、なかなか見通しはつかず、思うように進みません。


ご理解頂ける方々からの御助力、御助言を期待しております。



sky and saiil

それでは、2018年が皆様にとって、より良い年となりますように。

ヨット<青海>より、お祈り申し上げます。