-- これは実話です --
光る諸島
南極の島は氷に日を浴びて、雲を貫く山頂を輝かせていた。島々は急峻なものが多く、
周囲は断崖や氷の絶壁に囲まれ、停泊に適した湾や入江はきわめて少ない。空気は澄み、視程がきわめて良好
なため、遠近の物の区別が困難な場合が少なくない
解説
月刊<舵>2012年3月号より。
南極半島への接近です。
「ヨットで南極に行く」と言っても、南極のどこに行くのでしょう?
南極はオーストラリア大陸の2倍ほどもあり、場所によって寒さも、風の強さも、氷の多さも違うのです。
当時、南米ホーン岬を回って太平洋から大西洋に入った<青海>
は、アルゼンチンのブエノスアイレスに停泊中でしたから、一番近い南極半島を目指しました。
いや、南極半島に一番近い南米にいたからこそ、ヨットで南極に行けると考えたのです。
下の図から、南極大陸に最も近いのは南米大陸と確認できます。しかも、南極大陸からは細長い半島が、南米に向けて延びており、その間、わずか1000キロです。

南米と南極がこれほど近い理由は、以前にも少しご説明したとおり、数千万年前までは地続きで、ゴンドワナ(Gondwana)大陸の一部を構成していたからです。
ヨットで南極に行くには、このように南極半島が第一候補地となるわけですが、その理由は大陸からの距離ばかりではありません。次に氷の状況を見てみましょう。

これは南極の冬(8月)と夏(2月)の氷の最大分布を表したもので、米国水路誌のデータをもとに作成しました。冬(左図)は完全に氷に囲まれて、船の接近は絶望的に見えます。しかし夏(右図)を見ると、南極半島の部分だけ、なんとか接近出来そうです。昭和基地のある辺りは、ちょっと無理ですが、南極半島ならばヨットで行けるかもしれません!
でも、南極って、寒くないのでしょうか?

上の図は、南極の真夏の気温と水温の平均値を表したものです。
南極半島の付近は、なんと0℃を上回っていますね。これならば何とかなるかもしれません。南極を真夏に訪れる限り、北海道の冬よりマシかもしれないのです。

そこで寒さに備えて用意したのは、登山用の防寒服、とても小さな石油ストーブ、ベンジンが燃料の白金カイロ、長靴用防寒中敷、手袋、帽子、毛の下着各種、等々です。
もちろん、船室の内側に発砲スチロールを張りつめたり、エンジンに寒冷地用の準備をしたり、寒さに備えて自分なりに精一杯のことをしたのは言うまでもありません。

この砕氷船「しらせ」の写真は、後にオーストラリアのフリーマントル港に<青海>が寄港した際に撮影したものです。彼らのように設備の整った大型船で、暖かく安全に航海できればよかった。
いや、粗末な装備で寒い思いをしながら、命の保証のない航海だったからこそ、日常生活では決して感じ取れないものを、地球からもらうことが出来たのかもしれません。
(続く かな?)
このページの白い背景は、南極大陸の雪面写真から作成しました。
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